ワークライフバランス実現のために

看護師は、専門職として高い水準の仕事が要求されます。また、交代制で勤務形態が固定的かつ画一的、人員不足により過度な長時間労働や残業を強いられるなど、ハードな仕事です。ましてや近年の日本では、少子高齢化によって高齢者の医療需要の増加や労働人口の減少が進み、看護師の仕事の過酷さに拍車がかかっています。やむなく退職したり、家庭や交友関係などのプライベートを犠牲にしたりと、看護師が心身を患った末に命すら失う例もあるのが現状です。

そうした状況から、仕事の時間と量を調節してプライベートも大事にしようという意識が広がってきています。仕事とプライベートの調和、いわゆるワークライフバランスが拡大、浸透してきているのです。看護師も同様で、勤務形態の変化や多様化によってそれを実現しようという動きが起きています。そこで、所定労働時間より短い時間での正職員採用や、複数人で一人分の仕事を行うワークシェアリングなどが導入されてきました。

そのほか、労働時間の長さを選択式にする、夜勤の時間帯や回数、日勤夜勤の選択を可能にする、時差出勤やフレックスタイム制の導入により働く曜日と時間帯を自由に選べるようにするなどが挙げられます。勤務形態を柔軟化することで、看護師の負担を減らす方法が模索されているのです。看護師は高度な専門職ですがそれ以前に一人の生活者であり、その生活の質と内容は当然尊重されるべきという意識が広まることで変化がもたらされています。